南の龍
第9章 祭り
「兎も角行くぞ」
刻がドアに向かいながら言った。
「もう、いいさ!私は輝と回るからな!」
「……」
私達は非常階段から下に降りた。
そして、駐輪所の方に向かっていく。
「…ちょっ、待った!」
「…なんだ?」
刻がおもむろにこっちに振り向いた。
「いや、『なんだ?』じゃないよ。バイクで行くのか?」
「それ意外に何がある?」
「いや、だって私バイク持ってないし」
「俺の後ろに乗ればいいだろ」
マジですか。マジですか。刻に命預けるのですか。
「やだよ」
「じゃぁ、お前だけ歩いて来い」
「やだよ」
「なら、俺の後ろに乗れ」
「輝がいい」
「……」
「美椰ごめん!俺後ろに人乗せんの怖いんだ」
輝は手を胸の前で合わせ、謝ってきた。
だから、私はゆっくりと俊に目を向ける……。
でも、目が合う前に「無理」と拒否された。
「分かったよ。刻の後ろ乗ればいいんだろ」