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第4章 四

昼間、ビルの屋上で二人の男女が向き合っていた。

テーブルには雑誌と幾枚かの写真。

男はカメラマンの橘進。

女の方は見たことがない。

長身で知的な美人。

二人は楽しげに会話をしている。

女は写真を摘むとまじまじと見つめる。

そして短く息を吐くと写真をテーブルに戻した。

「流石ね、あなた」

女は他の写真を手に取っていく。

「どうやってモデルを見つけているのかしら」

「運命かな」

「運命ね」

皮肉を込めて言い、自嘲ぎみに笑う。

「そうね。運命かもしれない。あなたは悪魔だわ」

「僕にはわかるんだ。堕ちる人間とそうではない人間が。彼は堕ちるタイプ」
そして君もねと唇だけで告げる。

「彼をどうするの?」

「どうしょうか」

楽しげに答え、目を細めた。

女は小さく溜息をつく。

どうするかは決まってるくせに。

心の中で言い、もう一度溜息をついた。

「あなたがどうするにしろ、次も期待しているわ」

女の言葉に微笑むと写真をまとめ、渡す。

「彼はいいモデルになるよ。これからが楽しみだ」

女はそうねと呟き立ち上がる。

そして振り向くことなく、屋上を後にする。

残された男は、己の指を見つめ笑みを浮かべる。

冷たい笑みを。

これからのことを思い、楽しげに。

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