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第3章 三

その日も僕は彼の家にいて、出来たばかりの雑誌を見ていた。

彼が撮った僕の写真。

自分の物とは思えないほど、綺麗な指がそこに写っていた。

「別人のものみたい」

そう呟いた僕の指に己のものを絡め彼は微笑んだ。

「君の指だよ」

ほらと言って、彼はテーブルの上に数枚の写真を並べた。

どの写真にも僕が写っている。

自慰行為を行っている僕。

彼に抱かれている僕。

主体はあくまで指だけど。

「綺麗だね」

そう言って指に口づけ、唇に触れた。

「…好き」

僕の言葉に微笑みを浮かべる。

「僕も好きだよ」

そう、僕の指を。

わかっている。

それでもいい。

彼が僕の指を好きでいてくれるなら。

それだけで。

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