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第5章 もう一つの指

僕は黙って腕を差し出す。

彼も黙ったまま、僕の指をとりそっと口づけてくれた。

契約成立。

いずれ僕の腕もここに並ぶのだろう。

そして彼に愛されるのだ。

たとえ彼の興味が僕から他に移っても、この指だけは愛される。

そのためなら、腕を無くすことも怖くない。

そう、彼に愛されるなら何でもする。

僕は壊れてしまっているのか。

それでもいい。

それが僕の選んだ道。

「好き」

僕の言葉に彼は優しく微笑んでくれた。

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