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第2章 二

あの後、彼と契約を交わした僕は、翌日ここを訪れることを約束してビルを後にした。

よくよく考えればおかしな話である。

店で声をかけられ、男の跡について見知らぬ場所に向かった。

そこは使用しているのかわからないようなビルで。

ヤバい感じがするというのに後に続いてしまい。

そして彼の住居となっている部屋でお茶を飲みながら話を聞いた。

その時点で何もなかった。

とはいえ、今日何もないとは限らない。

あれは僕を安心させるためのものかもしれないからだ。

僕はビルを見上げる。

ひび割れくすんだ外壁。
ドアはガラスで、押して中に入る。

僕は昨日と同じように階段を上がった。

足音が反響する。

約束の時間まで10分足らず。

僕はゆっくりと階段を上がる。

引き返すなら今だ。

今ならまだ戻れる。

そう思いながらも、体は階上を目指す。

一段、一段。

階数が増す度に鼓動が早くなる。

目的の場所に着いた僕はドアをノックする。

鍵が外れる音がして扉が内側に開く。

もう引き返せない。

彼は僕を見ると微笑んだ。

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