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RAIN

第7章 諦められない想い《翔side》

俺の中である決心が芽生えてくる。
二度も決意を固めた要因がこいつだというのが癪だけど、でも今の俺は清々しい気分で満ち溢れている。意外と俺も単純な心理構造をしてるのかもしれない。

今までのモヤモヤした負の感情から解放された俺は、今度ははっきりとこれからの自分の行動を駿平に明かす。
「俺、早退する」
突然の変わり身に駿平は状況をうまく読み取れなかったらしく、顔を顰めて俺を凝視していた。
「頭痛がひどすぎて辛いから今から早退する。そう伝えといて」
やっと俺の言う意味を理解した駿平は的を得たと笑みを深めた。
そのまま階段を降りてすぐに再び駿平へと向け、手短に一つの頼みごとを口にした。
「俺の荷物、悪いけど帰りに持ってきてくれ」
「……え? 何も持たずに行っちゃうのかよ!?」
さすがに驚きを隠せない駿平が慌てて問い返す。それに対し、俺は一刻の猶予もならないと早口に返答する。
「取りに行く時間すらもったいないだろがっ!」
その返答を聞いた駿平が呆れながらも、口には薄く笑みを作っていた。
「しょうがねえなー……。その代わり、結果報告しろよ」
俺は右手を軽くあげることで返事とした。

もう俺の中に迷いはなかった。そのきっかけを作ったのが駿平なのが気に食わないが、今は自分の本心に忠実であればいい。
あんなに辛かった頭痛が今は少しだけ楽になっていた。


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