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RAIN

第7章 諦められない想い《翔side》

「だからその人とお前がうまくいくことを俺は本気で応援してたんだ。だけどちょっとその人に嫌がられたからってだけで諦めて引くなんて、お前の想いなんてその程度だったのかとがっかりだぜ」
その言葉の通り、駿平は呆れている。いや、怒っている。

駿平は親友として心から応援してくれてるのだろう。それは俺の心境の変化を誰よりも感じ取ったからこそだ。

「お前さ、諦めていいのか? もうこのままでいいのかよ?」
まるで畳み掛けるように言う駿平に、俺はただじっと駿平を見返す。けれど握りしめた拳は強く、爪が皮膚に食い込む。

「……いい訳ないだろ……」
ずっと無理に封印していた本心。
「諦められるはずないだろ……。離れたくない。ずっと傍にいたい。だけど迷惑だって言われたら諦めるしかないだろがっ!」
俺の中で葛藤が激しく渦巻く。

「やっと本心を聞けたな」
いつもの駿平の笑みに戻る。
「それを聞いて安心したぜ。諦められないならとことんアタックすりゃあいいじゃん」


昔からこいつはさりげない理解者だ。普段はいい加減で気楽な性格だが、意外とこいつは周りをみている。そしてこいつなりに励ましてくれる。
まさかこいつに説教されるなんて思いもしなかったし、正直言えば好き勝手に自分の意見を押し付けるこいつにムカつきもするが、だけど俺を心配してくれるこの悪友に救われたのも確かだ。




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