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RAIN

第8章 告白《翔side》

拓海さんの好意に甘え、俺は素直に布団の中に入った。
本当は拓海さんに俺の告白を聞いて欲しかったが、拓海さんがあんなにも俺のことを心配し、しかも親身になって世話してくれてる姿をみたら断れなくなっている。
それに心のどこかで嬉しいと喜んでいる自分もいた。俺のために看病してくれている拓海さんの姿に、俺はまだ傍にいてもいいのだと思えるから。それが例え、束の間の時間なのだとしても、今は拓海さんに甘えようと思う。
なによりも身体がなんだかんだといっても休息を求めていた。だからほんの少しだけ横になりたかった。


俺が横になってから数分して拓海さんが戻ってきた。手にはオレンジ色した氷枕に白いタオルを巻いて、俺の傍に腰を下ろす。
「これに変えたいから、少し頭あげてもらっていいかな?」
拓海さんに従い、俺は軽く頭をあげる。それを確認した拓海さんは手慣れた様子で枕を取り、用意していた氷枕と変える。
「なんかかえって迷惑かけちゃってすみません……」
本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。こんなつもりじゃなかったのに……。
だけど拓海さんは安心させようとしたからか、ふんわりと優しい微笑を湛えてくれる。
「今日は仕事休みだし、別に気にすることじゃないよ。……というよりも無理させたのは俺のようだし……」
最後は曇った表情になってしまった拓海さんに、今度は俺が慌てる番だ。
「あーっ、拓海さんのせいじゃないんです! 俺が勝手に風邪ひいちゃっただけで……!」

そんな顔をさせたいわけじゃない。ほんとに俺は拓海さんじゃないけど厄介者かもしれない。
嗚呼、余計に自己嫌悪に陥りそうだ。

「ごめん、気を使わせてしまって。とにかく今は寝た方がいい。ほんとは熱冷ましシートも貼った方がいいのかもしれないけど、あいにく家になくて……」
「そんなこと気にしないで下さい。大丈夫です、こうして横にさせてもらってれば楽になりますから」
なんだかお互いにキリがないような……。

お互いへの気遣いに拓海さんも同様だったようで、苦笑がこぼれた。
「それじゃ俺は隣に移動してるから、辛かったら呼んで」
それを最後に拓海さんは言葉通り、俺から離れていった。

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