
わたしの弟
第2章 彼氏
ーー本当は、翔と途中まで行きたかった。
そんな本音言えるわけないけど。
学校に着くと、酒谷くんが急に手を握ってきた。…恋人繋ぎ。
「酒谷くん?」
「どうせなら、皆に隠さないで言わない?その方が気が楽だし!ね。」
「…、そうだねっ」
無理に笑う。
酒谷くんを好きになれるようなるにはそれしかないし…
それで翔を忘れられるなら。
そのまま、手を繋いで教室に向かう。
酒谷くんは、学校では、まあまあ人気だけど
あまり好みではなかった。
好きだ、って言われて嫌な子はいないと思う。
教室につくと、クラスメイトが一瞬目を見開き静まる。
けれど、すぐ、冷やかしの声が響いた。
「ヒューヒュー!」
「お前ら、いつから付き合ってたんだよ!」
「エッチはもうしましたかー?」
ほとんどは男子。
女子は、やっと彼氏が…と感動のあまり涙が…、と芝居。
もう、後戻りは出来ないんだ。
