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機動戦士ガンダムδ

第4章 新しき人類

ブリッジのモニターに写る男の最後。
「そんなっ…タルマン少尉…。」
「っ…」
アルダは帽子を深くかぶりうつむいた。

放心状態のように、ピクリとも動かない機体。
「…お前らっ!」
オールビューモニターが明滅し、NITROのサインが灯る。
圧倒的な情報量がクロードの頭を突き抜ける。一瞬、強烈な頭痛で苦悶の表情を浮かべるも、怒りに満ちた今、それほど気にならない。
機体の駆動部からジワジワと青い光が滲み出し、やがて、噴き上げる蒼炎となる。
「機体が、燃えている…。」
バレンは目を疑った。

「なぜだ!リミッターをかけてあるんじゃなかったのか!?」
アルダが怒声をあげる。
「分かりません!リミッターがかってに…っ!?艦長!クロード君の脳波が異常な計測値を出しています!」
「なんだとっ!!」
「計測不能!いったい何が…!」

闇に浮かぶ蒼炎を纏う巨人…。
先程から、無線に自分の名を呼ぶ声がしているようだが、あまりにも遠い声に聞こえる。一秒が何倍にも引き伸ばされ、敵機の動きがスローモーションに見える。

蒼炎が緒を引き、巨人が消えた。
瞬間、残りの敵機すべてが光輪に姿をかえる。
「何が起こっている…。」
目の前で、惨劇が始まった…。

end

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