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君~タイセツサト、トウトサ~

第6章 第五章

郁-Iku-

もぅ、泣くのは最後にしよう。

郁:「もっと、親父やかぁちゃんに
  感謝しといたよかった…っ」

今まで
傍にいてくれて看病してくれた
かぁちゃん

仕事だからって一回も見舞いに来なかった
親父、でもかぁちゃんからよく聞いた
部屋で親父のすすり泣く声が聞こえるって。
頼りないなって思うww

でも、この世で一番逞しくって
かっこいい俺にとっての最高の父親。

かぁちゃんもそう。
俺にとって最高の両親。

俺は屋上で日の出を見て
涙を流してた。



ボスッ



郁:「んぁ?」

いきなり何かに抱きつかれ
まぬけな声が出る。

美:「1人で何泣いてんだよ!!」

郁:「美成子か…」

美成子に向き直って顔を上げると
真っ赤な顔をしていた。
目を充血させ鼻のてっぺんを赤く染める

郁:「何泣いてんだよ…」

ギュゥゥゥ

美:「だって…起きたら郁がいないんだもん」

声を震わしながら甘えてくる
愛おしくて仕方ない

郁:「俺はいつだってお前の傍にいるよ?」

チュッ

俺は触れるだけのキスをして
美成子をきつく抱き締めた。


美:「うん…」

郁:「美成子?」

美:「ん?」

郁:「とおぶん
  俺の所来るんじゃねぇぞ?」

美:「えっ?
  何でぇ?」

俺は薬のせいで髪の毛が全て抜け落ち
ニット帽をかぶってる
美成子がきても、情けない姿を見せるだけ
好きな奴の前ではかっこいい姿で
いたいってのは、みんな思うんじゃねぇか?

郁:「次会うときは
  元気になってるからよ!!」

美:「…でも
  たまに見に来ても良い?」

そんな甘えるなよ…
断れねぇだろ?

郁:「ん…」


何が悲しいのかわからない
でも、2人で溢れんばかりの
涙を拭い合いながら泣いた。

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