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君~タイセツサト、トウトサ~

第6章 第五章

郁-Iku-

俺は美成子より先に起き
美成子の服を直し

屋上へ向かった。

トン…トン

静かに階段の音だけが響く。

前まではこんな階段余裕だったのに
いまじゃすぐに息が上がる

郁:「はぁ…はぁ」

一つ一つが
俺に『死』を教える。

キィィィ
バタン

郁:「はぁ…」

着いた屋上は星が夜空に散らばって
すごくきれいだった

俺は屋上の真ん中に横になり
大きく手と足を開いて寝転んだ

トクンッ…トクンッ…トクンッ

心臓の音がうるさいくらいに響く。

まだ生きてんだなって実感できる。

頬に雫が垂れる

俺はまた泣いてるのか
俺はいつからだ?

こんなに涙腺が弱くなったのは。

郁:「っつ…っ」

死にたくなんかねぇよ…
生きてぇよ…
ずっと美成子と泉木と璃木といてぇよ…

何で俺なんだよ…

郁:「泉木…っ」

お前は何でもかんでも
俺に向かって全力でぶつかってくる
お前にはこの先一生かなわない気がする

郁:「璃木…っ」

お前がいねぇと
俺何も出来ねぇよww
俺をいつでも励まし
一番近くで背中を押してくれてた。

郁:「美…成子…っ」

俺の全てが美成子だった。

あのときあの日に俺らは
逢う運命だったんだ
初めて思うことが出来た。
誰かと一緒にいたい。
全てを投げ捨ててもお前がいれば
良かった。

郁:「生きてぇよ…っ」

俺は立ち上がった瞬間

フラッ

ドンっ

郁:「いってぇ」

っち
俺の足なんだから言うこと聞けよww

ふらつく足を押さえながら
また歩き出した。

俺はフェンスの近くに行き
小さくつぶやいた……










郁:「愛してる………」

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