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サンタをサガセ

第9章 ヤクソクノバショニ

私は立ち上がると走り出した



街中を走ると人の目が痛かったけどそんなこと関係なかった



下を向いて人の足元を見て走るとぶつからなかった


が人混みを抜けた辺りで


不意に後ろからギュッと抱き止められた




ウルトラマリンの香りが鼻を刺激する
胸がキューっと締め付けられるような感覚がした



「どうしたの?誰か捜してるの?」


『…サンタさんを捜しています』


私の目からは自然と涙がポロポロと雫になってこぼれた


「彼なら約束の場所に居ますよ…」


私はハッとして振りかえると既に誰も居なかった



『約束の場所って…今のはサンタさん…?』



誰も居ない空間に私の呟きが響いた




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