麗しの蓮の姫~炎のように愛して~【BL】
第4章 異端者
冗談じゃない。お前の囲われ者になるほどなら、漢江に身投げした方がはるかにマシだよ。
また、ひとしきり悪態をついた時、耳許で女の声が囁いた。
「若さま、この娘ったら、本当にいつも憎らしいほど表情が変わらないの。この娘が翠月楼に来てもう一年になるけれど、私は浄蓮が笑ったところも泣いたのも見たことがありません」
ねえ、と、いつしか傍らに来ていた明月が浄蓮本人に優しく誘いかけるように言う。
「なるほど、けして笑わいもせず、泣きもせぬ氷の女、か」
ファンジョンの呟きに、明月が癇に障る嬌声を上げた。
「けして泣かない娘を泣かせてみるのも良いかもしれませんよ?」
明月がそれだけ見れば、本当に妹を愛しむ姉のような手つきで浄蓮の髪を撫でる。
だが、これは見せかけだけの優しさにすぎない。
「うむ。それも一興だな」
ファンジョンが〝やれ〟とこれも犬にでも命じるように言うと、すかさず明月が立ち上がり浄蓮の背後に回った。
咄嗟のことで、浄蓮も反応が一歩遅れた。気がついたときには、明月に両腕を掴まれ、抑え込まれていた。
「何をするんですか? 姐さん、止めて!」
浄蓮が叫んだのが、ファンジョンの欲望に火を付けたらしい。
「愛い奴だ。大人しく致せ。これからゆっくりと俺が女にしてやろう」
ファンジョンが顔を近づけ、覆い被さろうとしてくる。
「いやっ、姐さん。こんなことは止めさせて下さい、明月姐さん」
明月に憐れっぽい声で訴えてみるが、この先輩妓生は、いまだにまだ豊かな乳房を露出したまま、平然と陵辱されようとしている妹分を見下ろしている。その瞳は氷のように凍てつき、底には憎悪さえ閃いていた。
また、ひとしきり悪態をついた時、耳許で女の声が囁いた。
「若さま、この娘ったら、本当にいつも憎らしいほど表情が変わらないの。この娘が翠月楼に来てもう一年になるけれど、私は浄蓮が笑ったところも泣いたのも見たことがありません」
ねえ、と、いつしか傍らに来ていた明月が浄蓮本人に優しく誘いかけるように言う。
「なるほど、けして笑わいもせず、泣きもせぬ氷の女、か」
ファンジョンの呟きに、明月が癇に障る嬌声を上げた。
「けして泣かない娘を泣かせてみるのも良いかもしれませんよ?」
明月がそれだけ見れば、本当に妹を愛しむ姉のような手つきで浄蓮の髪を撫でる。
だが、これは見せかけだけの優しさにすぎない。
「うむ。それも一興だな」
ファンジョンが〝やれ〟とこれも犬にでも命じるように言うと、すかさず明月が立ち上がり浄蓮の背後に回った。
咄嗟のことで、浄蓮も反応が一歩遅れた。気がついたときには、明月に両腕を掴まれ、抑え込まれていた。
「何をするんですか? 姐さん、止めて!」
浄蓮が叫んだのが、ファンジョンの欲望に火を付けたらしい。
「愛い奴だ。大人しく致せ。これからゆっくりと俺が女にしてやろう」
ファンジョンが顔を近づけ、覆い被さろうとしてくる。
「いやっ、姐さん。こんなことは止めさせて下さい、明月姐さん」
明月に憐れっぽい声で訴えてみるが、この先輩妓生は、いまだにまだ豊かな乳房を露出したまま、平然と陵辱されようとしている妹分を見下ろしている。その瞳は氷のように凍てつき、底には憎悪さえ閃いていた。