麗しの蓮の姫~炎のように愛して~【BL】
第4章 異端者
「小娘が生意気言って、知った風な口を利くにじゃないよ」
女将の鋭い声が飛んだ。
そのあまりの剣幕に、流石の浄蓮も気圧される。
「マ、浄蓮の言い分にも確かに一理はある。あんたに日頃から、くれぐれも秘密だけはばらさないようにと言い含めてきたのたのは、このあたしだからね」
でも、と、少しやわらかくなっていた声音が再び尖った。
「それとこれとは別だ。お前の言い分を少し認めて、若さまに抵抗したのは良しとしても、あれだけのことをしでかしておいて、詫びの一つも言えないようじゃア、ここに置いておくわけにはゆかない。お前も一年、ここにいたんだ。廓では、姉と妹の繋がりは絶対的なものだと重々承知してるはずだろう? お前はうちの見世ではいちばんの姉さんに手を上げた。それは翠月楼の女将としては、何があっても認められない重大な罪だ。だが、今回は事情が事情だけに、お前が自分の非を認めて姉さんに謝れば、不問にしてやろうと言っている。さあ、どうするね。明月に頭を下げて、この件はきっちりと片を付けるか、それとも、あんたのそのつまらないちっぽけな誇りとやらを後生大切に守って、ここを出てゆくか。決めるのはお前自身だよ」
浄蓮の声が戦慄いた。
「何故、どうしてなんですか? どうして、私が頭を下げなきゃ駄目なんですか? 女将さん、姐さんは私を手籠めにしようとする若さまを助けて、私を押さえつけたんですよ? なのに、私は若さまの前で、姐さんに二度も頬を張られた。それだけで、十分じゃないですか!? これだけの仕打ちを受けてもまだ、私は姐さんに謝る必要があるっていうんですか?」
と、女将がフと気のない笑いを洩らした。
「だから、お前は何も判っちゃいないっていうのさ」
女将の鋭い声が飛んだ。
そのあまりの剣幕に、流石の浄蓮も気圧される。
「マ、浄蓮の言い分にも確かに一理はある。あんたに日頃から、くれぐれも秘密だけはばらさないようにと言い含めてきたのたのは、このあたしだからね」
でも、と、少しやわらかくなっていた声音が再び尖った。
「それとこれとは別だ。お前の言い分を少し認めて、若さまに抵抗したのは良しとしても、あれだけのことをしでかしておいて、詫びの一つも言えないようじゃア、ここに置いておくわけにはゆかない。お前も一年、ここにいたんだ。廓では、姉と妹の繋がりは絶対的なものだと重々承知してるはずだろう? お前はうちの見世ではいちばんの姉さんに手を上げた。それは翠月楼の女将としては、何があっても認められない重大な罪だ。だが、今回は事情が事情だけに、お前が自分の非を認めて姉さんに謝れば、不問にしてやろうと言っている。さあ、どうするね。明月に頭を下げて、この件はきっちりと片を付けるか、それとも、あんたのそのつまらないちっぽけな誇りとやらを後生大切に守って、ここを出てゆくか。決めるのはお前自身だよ」
浄蓮の声が戦慄いた。
「何故、どうしてなんですか? どうして、私が頭を下げなきゃ駄目なんですか? 女将さん、姐さんは私を手籠めにしようとする若さまを助けて、私を押さえつけたんですよ? なのに、私は若さまの前で、姐さんに二度も頬を張られた。それだけで、十分じゃないですか!? これだけの仕打ちを受けてもまだ、私は姐さんに謝る必要があるっていうんですか?」
と、女将がフと気のない笑いを洩らした。
「だから、お前は何も判っちゃいないっていうのさ」