季節を重ねていく度に。
第1章 出逢い。
「…っらぁぁあ!!」
夜。
雨足が早まる暗闇を切り裂くように男の怒声が響く。
ドサッ…───
腹を殴られた男は終わったかのようにコンクリートの上をスライディングしていく。
「はぁ……ッチ」
さっきまで怒声を繰り広げていた男は壁に寄っ掛かってタバコを一本出す。
だが、ライターがないのかポケットの中をまさぐっている。
あたしはポーチの中からライターを取り出して男の前に行き、
シュボッ…
ライターの火を出した。
男はタバコを口に挟めて火を火薬部分に付けて煙を吐き出す。