季節を重ねていく度に。
第3章 決別
えっ…
なんで、あたしの名前…
男をまた恐る恐る見上げるとあたしは全身が震え上がり、寒気がした。
「あれ…今思い出した?」
クスクス笑ってあたしの手をぎゅっと握る。
あたしはつい崩れ落ちて俯いてしまった。
「ん?華ちゃん大丈夫?」
「や…やめ、て…」
あたしを立ち上がらせようと両腕を掴むが、あたしはその腕を崩す。
「…俺から離れるとでも思った?」
男は…あたしの元彼、晃(コウ)は
不適に笑ってしゃがむ。
晃はあたしを何度も殴ったり蹴ったり、いわゆるDVをしていた。
みんなの前じゃ優しくてあたしに好きとか言って別人で。
あたしが友達の前で殴ってること言ったらその日はボッコボコ。
束縛もひどくて部屋に監禁されることもしばしば。
あたしは晃がいない隙を狙ってずっと逃げ続けていた。
…だけど、こんなところで再会するなんて…
「悪いけど、俺の情報網でお前のこと調べてもらったから。
桜井 千尋と付き合ってることもな。
…俺のことナメてんの?」
「ひっ…」
あたしの後頭部を掴んで顔を近づける。
晃が怖くてしょうがなくて逃げ出したかった。