季節を重ねていく度に。
第3章 決別
ある秋の日。
寒くて、あたしは両腕をさすりながら歩いていた。
その日は千尋の家でデートで、早足で向かっていた。
コンビニにさしかかったとき、あたしはぐっと男に腕を掴まれた。
「ねぇ」
男は低い声であたしを見下ろし、グレーの瞳が冷酷だった。
少し盛った黒髪にゴツく男らしい体…
千尋と似たような系統の男で、あたしは全く知らない奴。
「あ?あんた誰」
そう言うと男はにやっと口角を上げる
「へぇー、俺にそんな口聞くんだ」
「だから誰だっつってんだよ。
あたし急いでんだけど」
「彼氏んとこか?」
「あんたに関係ないだろーが。離せや」
腕を振り払っても離さないからあたしはイラッとして片手でこいつの腹を殴ろうとした。
だが、
ポスッ
簡単に手のひらで受け止められた。
「俺に叶うと思ってんの?
″華ちゃん″」