R18っぽいけど実際はU15
第1章 月
幼稚園でも小学校でもいい。
誰だって砂場で一度くらい遊んだことがあるはずだ。
何が楽しいかったのか今となっては分からないが、砂を掘っては積み上げる単純作業。
山の形を気にしては微調整を繰り返し、自己満足に浸る特殊な遊び。
その時のあんたなら気付いたはずだ。
目の前の作品の欠陥や穴がありありと見えていた。
それが作品をぶち壊しにしていることに腹を立てても、砂は思い通りには動いてくれない。
地団駄を踏んでも山は崩れるだけで、あんたの涙ですら溶けてしまう楼閣。
なぁ、ホントは最初から分かってたんだろ?
全てはその真っ黒になった両手のせいなんだって。
でも認めるのが怖かったんだよな。
この両手が可愛いが為に、あんたは砂のお城に全責任を押し付けて破壊を選んじまった。
自分で作って、自分で嫌って、自分で壊した。
何を言ってるのか分からないか。
ならここにしおりを挟んで一休みをオススメするね。
これから始まる砂のお城の話は、それはもう長い長い話で欠伸も尽き果てるほど退屈だ。
つまり今まで走り読みしたあんたに取って置きの天敵を用意したってこと。
時間がかかっても、更新が遅れてもどうか最後まで読んで欲しい。
最もここまで読み進めた優秀なあんたなら、そんなことは苦にならないことを俺は確信しているけど。