一万回目のプロポーズ
第11章 妨げ
長い廊下を
ひとり歩いた
カーペットの床のおかげで、足元は全然音を立てないで
ずっとひとり
歩いた
『…っ』
もう、慣れたから…
慣れたから…
慣れた…けど
「はい」
突然、頭に何かが掛かった
柔らかい触り心地
たぶん、タオルだな
『…俊司』
俊司はもう一枚あたしにタオルを掛けて
持っていた鍵をチャリッと鳴らした
「どこ行くの?」
『着替えに…』
「服置いてある部屋、そっちじゃねーよ?」
『え…あ…』
よく考えてみれば、確かに…
あたし、どこに向かってたんだろ
あたしは少し恥ずかしく思いながらも、道を引き返した
―――――