一万回目のプロポーズ
第5章 ちょっとは近づけた
「…山口君のこと好きなの?」
『そ…んなわけないじゃん!!何で香織の言ったこと、そこまで信じちゃうわけ!?』
「ごまかさなくていいじゃん。山口君だって人間だろ?」
それ、あたしも昨日言った
『嘘だって言ってんでしょ!!だってあたしは…』
と言いかけたところで言葉に詰まった
危うく、有りがちパターンで口を滑らせるところだった
「"だってあたしは"?」
上目遣いで、ちょっと笑いながらこっちを見てくる俊司の表情に
あたしの顔は一気に赤くなる
『う…うっさーい!!
屋上はあたしの場所なの、さっさと出てって…!!』
俊司の腕を引っ張って立たせようとすると、逆に引っ張られてしまった
掴み返されたあたしの両手は、俊司の片手に地面に押さえ付けられ
顔と顔の距離がグンと近くなる
「"だってあたしは"…何って?」
『んな…///』
伸びたまつげが可愛くて
息もいい匂いがした
『離せ変態!!///』
あたしは必死に俊司から逃れた