一万回目のプロポーズ
第5章 ちょっとは近づけた
授業が始まって20分ほど経った時だった
ガタガタッと、誰かが突然席から立ち上がったのだ
「先生、俺腹痛いっす!!便所行ってきます!!」
「お…おお、わかった…行ってこい竹村ぁ…」
先生はポカンとしたまま、教室を出ていく俊司を見送った
―――――――――
「サボり発見」
そう言われて振り返ると、後ろには俊司がいた
『…何さ、今授業中じゃん?』
あたしは顔だけ俊司に向けたまま、フェンスを掴んだ
「だって俺、腹痛いんだもん」
わざと痛そうにお腹をさすりながら、俊司はあたしの隣まで寄って来る
来んな
まじで
『仮病か』
「そっちは無断欠席だ」
俊司もあたしと同じようにフェンスを掴むと、
屋上から見えるこの景色を、ただボーッと眺めた
「怒ってる?」
『別に。ムカついただけ』
「それを怒ってるって言うんですよー」
フェンスを掴んだまま、俊司はうんしょと腰を下ろし
腰が地面につくと、手を後ろへ置いた