一万回目のプロポーズ
第5章 ちょっとは近づけた
「俺さぁー…」
『うん…』
俯いて、顔を見せないまま呟いた俊司の声は
今まで聞いたことのないくらい弱々しかった
「ほんとは…」
さらに頭を落とす俊司
『どうし…』
「なんちゃってぇ~!!!」
お姉さん座りをしていたあたしは、俊司の奇襲攻撃を避けきれなかった
そのままコンクリートの上にぶっ倒され、
俊司はあたしの顔の隣に手をつき、覆いかぶさるようにしてきた
その顔には満面の笑みが
「へへー、俺の勝ち♪」
『あたしの純粋な心を返せ!!』
「貰った覚えもないし、返せない(笑)」
『消えちまえ!!鬼!!俊司なんて嫌いだぁー!!』
俊司の下で、あたしはバタバタと暴れた
こうやって動いてないと、今にも心臓が破裂してしまいそうだったから