一万回目のプロポーズ
第5章 ちょっとは近づけた
ドキ ドキ
ゆっくり、俊司の唇が近づく
ドキ ドキ
『さ…』
ドキ ドキ ドキ
『さっさとどけぇええい!!!』
最後のもがきのせいで、
あたしの膝が、俊司の顔面に直撃した
「いっっでぇええ!!!」
顔を押さえたまま俊司は地面を転がり回り
あたしはすぐさま体勢を立て直した
『ちょっと…何しようとしてくれちゃってんの…!?///』
「な…何って別に…」
涙目でこっちを見る俊司
痛かったんだろうな…
と、少し悪く思ったが、今はそれどころではない
『昨日言ったっしょ!?
あんたは彼女持ち!!
だから何もしちゃダメ!!』
「あ…明奈が怒るようなことじゃねぇだろ…?」
『ダメなもんは、ダメ!!
あたしは千尋に…』
キュッと下唇を噛んだ
あたしは…千尋に…
「?」
『ううん…何でもない…』
丁度その時、授業の終わるチャイムが鳴った
スピーカーが近かったため、頭までキンキンとする
『…教室、戻る』
「…」
俊司は立ち上がり、あたしの後ろをついて来るかのように、黙ったまま歩いた