一万回目のプロポーズ
第7章 夜の電話
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「笹川ぁ、うらっ」
ビシッという平たい音が、おでこの辺りで鳴った
『いったあ!!!』
あたしは一瞬遅れて悲鳴を上げる
見てみると、北村の手には定規があった
それを弾いて、あたしのおでこを攻撃したんだ…こいつは…
『ちょっと北村ぁあ!!』
「わっ、デブが怒ると怖い!!」
『デブじゃないもん、バカ!!』
あたしは逃げていく北村を、馬鹿馬鹿と言いつづけた
5年生になってからは、これが日常
何かある度に、北村はあたしを怒らせ、怒鳴らせ
最後は結局、自分が逃げていく
正直、あいつにはうんざりしている
最近なんて、叫びすぎて喉が痛いくらいなんだ