一万回目のプロポーズ
第8章 ドキドキの始まり
俊司も、あたしと同じようにお土産を見ることにしたようだ
『やっぱり買うの?』
「いーや見てるだけ」
あたしは少し笑って、また自分の買い物に集中した
俊司が隣の店に足を運んだ時だ
突然あたしは、誰かに名前を呼ばれた
「笹川さん…」
振り向くと、そこには山口君がいた
『何?』
あたしはもう一度お土産に目を移し、返事をする
「面白いもの、見つけたんだ」
『へー』
「ちょっと来てくれないかな…?」
普段は全然喋らない山口君が、今日はやけに積極的だ
あたしはもちろん、嫌な予感がした
『別に、遠慮しとく』
「お願いだよ」
『へ?』
山口君はあたしの腕を掴み、無理矢理引っ張っていった
『ちょっ…』
山口君は黙ったまま、どこかへ向かった