テキストサイズ

掌の浜辺

第2章 秋 - heart warming -

1.再会

木漏れ日が射しこんでくる夕方の空にむかって私は仰いだ
まばゆい光が枝と枝のすきまから降り注ぐ
”あったかい” ってこういうことなのかな


 秋。西海浜大学の文化祭当日、私は手作りしたフェルトのお人形さんとブラウニ-を展示販売。小野里くんとシュンくんは、いくつか持ち出して大学構内を歩きながら売り子さんをしている。ゆうこりんとりょうこりんと女装ナオトくんの3人は、ガ-ルズバンド(?)を組んでピアノの演奏会を小さな教室を借りて開催中。その隣の教室では、お料理講習会を担当している叶ちゃんとケンイチくんがいる。そこで売り子をしながらたまに講習会を手伝う私、平石。元野球同好会のメンバ-みんなで文化祭ができるなんて思っていなかったからすごくうれしい! あ、でも私だけなのかな。最後の文化祭だから。
 「午前の部はこれで終わりになります。おつかれさまでした。午後の部は13:30~16:00、夜の部は17:30~19:30に開催しますのでご都合のよろしい方はお待ちしております。ご参加ありがとうございました!今日のレシピについては、お手元の冊子の他に同じものをあちらの出入口でもお配りしているのでご自由にお持ち帰りください。ありがとうございました」

 講習会の参加者が全員教室から出ていったあと、午後の部の準備に取りかかる。午前の部のときに作ったものをお昼ごはんにしたんだけど
 「クレ-プたべたい~」
 「次、デザ-トパフェじゃん」
 「でもデザ-ト食べたくなっちゃうよね」
 「はい。平石さん買いに行きます?茶道部のがすごくおいしいみたいです」
 「ほんと?行こ行こ」
 俺は、とケンイチくんが聞く前に叶が一言、「教室おねがいね」
 「わかった。長い外出はすんなよ」
 「うん~」
 「ごめんねケンイチくん。ちょっと言ってくるね」
 「はい」
 (準備する)

 ♪♪♯♭
 パララン♪ というきれいな音色でメドレ-の最後をしめくくった。パチパチという拍手が教室に響き渡る。
 「ありがとうございます」
 3人が一礼。再び拍手がわきあがる。そして静かになったあと、「もしよかったらご自由にこのCDをお持ち帰りください。またよろしくお願いします!」
 閉幕。ゆっくりとお客さんが教室を後にしていく。
 (CD持っていってくれてよかったぁ☆)

ストーリーメニュー

TOPTOPへ