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掌の浜辺

第2章 秋 - heart warming -

 パチパチパチと拍手がわきあがる。
 「ありがとうございます☆(*^^*)」
 ナオトくんの声。会場内ではお客さんの拍手や声が響き渡っていた。それに気づいた廊下を歩いていた人たちもその足を止め教室を気にしながらそれぞれが行き交う。中には立ち止まって何かを話し始める学生たちも。
 一方、会場ではバンド3人に群がる人たち、席で余韻に浸っている人たち、雑談をしている人たち、すぐ会場の外に出ていく人たち、いろいろ。CDがほしい人たちもいたけど、今回のは歌詞カ-ドだけ配布してCD頒布はしないことになっていたから残念がる人たちも多かった。ナオトくんが冗談まじりにデビュ-したら出すよみたいなことを言っていたっぽいけど(笑) そんなこんなで私たちの方のデザ-トパフェ作りも無事に終わって、あとは夜の部のポテトサラダのクレ-プ作り! ブラウニ-の歩き売りは微妙で午後はあまり思うように売れなかったのがちょっと悔しい仮名。っていう、ちょっとした愚痴。
 夜の準備と洗い物をしていると小声で小野里くんが話しかけてきてくれた。
 「終わったら時間ある?」
 「うん☆大丈夫だよ」
 「したら今日全部片付いたら図書館前」
 「うん♪ありがとう」
 西海浜大学は文化祭の次の日は予備日として後片付けをする日にあてられているんだけど、それが当日中に終わったら次の日はおやすみにできる。小野里くんはそうするためにできる限り物の移動を少なくして教室にあるものを有効活用しながら文化祭の出展を考えていたみたいで。楽器はケンイチくんと叶ちゃんのつながりで軽音楽部の人たちに借りることができたし、偶然今年は2つある家庭科室の1つが空いていて本当に運がよかったからできた出展。みんなに感謝だよ。
 そして夜の部へ。

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