精霊と共に 歩睦の物語
第8章 共にする者
ふわふわっと浮いている感じ…。
異臭もしない…心地いい。
{歩睦!会いたかったよ}
音もなく、何かが歩睦に抱きついてきた。
バチンッ!
「わ!いたっ!」
緩みきった感覚に、静電気のような衝撃で身体を縮こむ歩睦。
{あ!ごめん!}
抱きついてきた何かが、申し訳なさそうな声で離れる。
「びっくりした…なんだよ、今の…」
少し涙目の歩睦はゆっくり目を開ける。
「あ!」
目を開けてビックリする歩睦。
自分の目の前に広がるのは、真っ白な世界。
「前…ココ来た!」
歩睦が身体を動かそうとすると身体がクルンと回転した。
「おっとっと…」
歩睦は身体を安定させようともがく。
{もう…大丈夫?}
歩睦の側で声が聞える。
「あ、まって!まだ…話せる状況じゃない!わぁ!」
歩睦がまた回転し始める。