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精霊と共に 歩睦の物語

第8章 共にする者

 信司視点



 息子が…歩睦が生まれたあの日。


 自分が追い求めているものが、こんなに近くに在る事を知った。


大学で考古学を学んでいた頃、奈良時代の古文書を手に入れた。

古文書は文字がかすれて読むのが大変だった。

友人たちの協力で資料を集め、ようやく読めた文章は…


  『玲亜に帰りし、御身を思う。



  わが身はご門護り…器と刃を持つ者……

  鍵を…柱に……

  その血をもって、門の開閉を司る』



求めてはいけないモノだったのでは…と…悩まさせた。


  『器の者と刃の者が交わる時、産まれた子…

  その者。鍵となる』


器が僕で、刃が景…産まれた息子が『門』の鍵

  『かの地より使者現れる

  使者は鍵の守護…共にする者』


使者が教えてくれた…息子の運命…あまりにも残酷な運命。


息子の命で明け閉めする門…景さんを苦しめ続ける…

救いは歩睦とユティルが直ぐに、打ち解けた事。

どうか、歩睦の運命の波に打ち勝つ盾とならんことを願う。

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