
精霊と共に 歩睦の物語
第12章 歩睦、知識を集める
「式神については、詳しい人に聞くといい。
歩睦にはもっと大事な役目がある…袴着(はかまぎ)のお祝いを覚えているかな?」
「袴着のお祝い…七五三の時の事だよね」
歩睦は飾っている写真に目をやる。
リビングに飾っている写真の中に、羽織袴を着て、ちょっと照れた顔の幼い歩睦の写真がある。
「このお祝いの日。
僕と柾季は一緒の神社で五歳のお祝いの参詣に行った。
その時、遥香のお母さんが交通事故にあって、足が動かなくなった」
淡々と小説を読むかのように歩睦が言う。
「そう、教えたね…」
信司が頷く。
「うん…この話はあんまりしない。
だって…
遥香この話すると泣くから…」
写真立ての中に遥香を中心に歩睦と柾季が顔を寄せ合う写真もある。
「遥香ちゃんと話したことがあるの?」
景が聞く。
「遥香がね、
『なんとなくだけど、お母さんが事故にあった事の原因が自分にあると思っているんだ。
でも、記憶はドンドン不鮮明になるし、一緒にいた大人たちは、みんな判で押したように、
『暴走してきたバイクに跳ねられた』としか教えてくれなかった。
首の大きな傷については、説明してくれない』
あの遥香が、小さく震えながら泣くんだ。
僕は、あの事故の時…一緒にいたはずなのに、何も思えていない。
遥香の涙で、何か大事な事を忘れているんだ、って思っていたんだ。でも、父さんや母さんに、聞いちゃいけないって思っていた」
「その話をしたのは、いつ?」
景が聞く。
「中学入って直ぐだよ。おじさんがお店忙しくて、おばさんと遥香がタクシーで病院行く時があったんだ。
二人じゃ心配だから…僕が車いす押しながら付いていった」
歩睦にはもっと大事な役目がある…袴着(はかまぎ)のお祝いを覚えているかな?」
「袴着のお祝い…七五三の時の事だよね」
歩睦は飾っている写真に目をやる。
リビングに飾っている写真の中に、羽織袴を着て、ちょっと照れた顔の幼い歩睦の写真がある。
「このお祝いの日。
僕と柾季は一緒の神社で五歳のお祝いの参詣に行った。
その時、遥香のお母さんが交通事故にあって、足が動かなくなった」
淡々と小説を読むかのように歩睦が言う。
「そう、教えたね…」
信司が頷く。
「うん…この話はあんまりしない。
だって…
遥香この話すると泣くから…」
写真立ての中に遥香を中心に歩睦と柾季が顔を寄せ合う写真もある。
「遥香ちゃんと話したことがあるの?」
景が聞く。
「遥香がね、
『なんとなくだけど、お母さんが事故にあった事の原因が自分にあると思っているんだ。
でも、記憶はドンドン不鮮明になるし、一緒にいた大人たちは、みんな判で押したように、
『暴走してきたバイクに跳ねられた』としか教えてくれなかった。
首の大きな傷については、説明してくれない』
あの遥香が、小さく震えながら泣くんだ。
僕は、あの事故の時…一緒にいたはずなのに、何も思えていない。
遥香の涙で、何か大事な事を忘れているんだ、って思っていたんだ。でも、父さんや母さんに、聞いちゃいけないって思っていた」
「その話をしたのは、いつ?」
景が聞く。
「中学入って直ぐだよ。おじさんがお店忙しくて、おばさんと遥香がタクシーで病院行く時があったんだ。
二人じゃ心配だから…僕が車いす押しながら付いていった」
