
精霊と共に 歩睦の物語
第12章 歩睦、知識を集める
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無事 黒き影は収まり、世界の天変地異は収まった
橘花媛はその報告を兵に、書面にして送った文献が、これ…
『わが身 疫の汚れを持つもの、都に帰る必要はない
わが身を柱として、再びの災い起こらぬように、この身を使う』
{この文書は精霊が見えない役人が書き記した物、お姫(ひい)様はそんな事言ってなかった!!}
ユティルが古い挿絵の周りを飛ぶ。
歩睦「おひい様?」
{僕らは『聿智乃様』のことを『お姫様』と呼んでいたよ。
だって、まだ幼子。
仰々しくしても仕方ないでしょ?}
歩睦「『橘花媛』が下向した時何歳位?」
景「はっきりした記述がないけど、五歳から六歳くらいのだと思うわ」
歩睦「ユティルは知ってる?」
{僕らには人間の『歳』と言う概念がないから、よくわからない}
歩睦「そうなんだぁ」
{僕の感じとして、お姫様の容姿はミノルくんより幼く見えた…}
歩睦「見えた?ユティルって僕と一緒に生まれたんじゃないの?」
{この個体になったのは、そうだけど、基本的には精霊核と同じ一つモノ得た知識は共有しているよ。
いい事も、悪い事も…ね}
歩睦「そういうモノなのかぁ」
景「精霊が見えたり、その声を聞ける者は、知りえない事を知っていたり、出来たりする」
信司「人は神の子とも鬼の子ともいわれ、好奇な目で見られる。
精霊も同じだ。
時に神と呼ばれ、鬼とも呼ばれた。
恩恵を受けた者と害を受けた者との差だな」
だから…橘花媛は
【目なくして見、耳なくして聞き、口なくして語る】
人智を超えた力を持つ神の子。
と記述がある」
「人智って、盛りすぎだよ」
歩睦が苦笑している。
{お姫(ひい)様にはたくさんの精霊の仕えているからね
廷羅側の人にはそう見えたんだよ}
ユティルが言う。
「なるほど…
ぼくも、ユティルが見えなかったら、理解できなかったかも…」
歩睦がなっとくする。
{歩睦は六叉家の柱だから大丈夫!
今からいろんな精霊に会えるよ!!}
「精霊!ユティルの仲間?」
{うーん…仲間かな?歩睦がのぞむ形になるよ}
