
ひと夏のアバンチュール
第4章 微妙な関係
「マティーニをお願い」
カウンター越しに注文した
「はい お待ち下さい」
若い女性の店員さんが
会釈を返してくれた
「ごめん そのお客様
僕の知り合いだから ありがとう」
ライアンが後ろから
カウンターに入ってきた
彼女は
ライアンに軽く頭を下げ
カウンターから離れた
「今から特別に
彩華オリジナルを作るよ 待ってて」
ウインクを投げてきた
こんなキザな事が様になるのは
ライアンだから?
外人さんって映画の俳優さんみたい
何をしても絵になるなぁ~
シェイカーを振る彼
その動きが、何倍も格好良く魅せる
手から滑るように
軽やかに
優しく
彼の魅力まで
一緒にシェイクするようだ
額の汗がダウンライトに照らされ
ライアンの輝きが一段と増す
彼がカウンターに入ると
ラウンジは
ほぼ満席状態になる
女性客が
目立つ 特に若い女性
このホテルは
観光地の中心街にある
大手のチェーンホテル
部屋も
サービスも
何もかも
最高級の一流ホテル
このホテルに相応しい
バーテンダーだ
