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ひと夏のアバンチュール

第5章 嵐の予感

あれからどれくらい過ぎただろうか

まだドアにもたれ掛かったままでいる


ケイトから電話が入ってるのに
気付いたのは

12時を過ぎた頃

何度もメッセージが入ってあった

休んだことなんて
出産以外ほとんど無いくらい

出張中なんて

現地スタッフが心配するほど
熱中して仕事にのめり込む私


だから余計だろう

顔を洗い
ミネラルウォーターを
一気に飲み干し
電話をかけた

「昨日からキツくて 休むわ」

「後で行くわね」

「ありがとう でも寝てるからいいわ」

「そう 気をつけて」

「明日は行くから
ごめんなさいね」

「無理しないでいいわよ」

ケイトの声が
なんだか私を熱くした

目頭がまた火照る


止めどなく溢れる

涙に

どうする事も出来ずに


頬が乾燥して痛い

日が落ちるまで止まりませんでした



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