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ひと夏のアバンチュール

第8章 ケンと私とママ

帰国の日が決まった週末

ホテルの部屋で
夕食の準備をしていた

ピンポン ピンポン

チャイムの音

「はぁ~い」

片手に菜箸を握り
エプロン姿でドアを開けた

「彩華 僕来ちゃった」

勢いよく抱きつくケン
泣きそうな顔を向けた

「どうしたの パパは?」

しゃがみこんでケンを抱き上げた

「パパが彩華に会っちゃいけないって言うんだ。でも僕会いたかったの。彩華は嫌?」

「ううん 会いたかったわ。でも黙ってきたんでしょう?」

「・・・だって 怒るから」

「番号分かる?電話しましょう」

「・・・・・・・・・・・・・」

「大丈夫 仕事終わるまでって、お願いしてみるから」

ぱぁっと
にこにこになるケン

いくら背伸びしたって
5歳児


思いっきり
構って
甘えんになってもらっちゃおっか

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