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ひと夏のアバンチュール

第9章 本当の私たち

無言のままライアンと暫く見つめ合った

そして
沈黙を破るように口を開いた

「愛してるよ。・・・きっとそうだと思う」

上を見つめるライアンの瞳には
うっすら涙が溜まっていた

「不確かなのね」

「暫く、誰も愛してないから
忘れたんだよ。だから多分なんだ」

「私は愛してる旦那と娘がいるわ」

「ケンには知らなくてよかった事だね」

「軽率だったかしら?」

「事実なら、仕方ないな」

「ありがとう。貴方達に出逢えて久々楽しい出張だったわ」

「ありがとうなんて、言わないでほしい」

「えぇっ?」

「僕達の前から消えるのに
ありがとうなんて、都合が良すぎる」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

都合がいいっか

その通りだよね

私は必ず帰る
生活する土地はここじゃない

だから
ちょっと手を出したの?

うぅん そんな簡単に割り切れる程
私は器用じゃない

むしろ真剣に向き合った

関わってきたからこそ

嘘はつけなかっただけ

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