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ひと夏のアバンチュール

第10章 最後のシチュエーション

ケンが起き出す前にと、抱き上げて
ライアンは帰っていった


私達は

一言も言葉は交わさなかった

目と目で語り合い

気持ちが通じ合った


優しい瞳が私を包み込む

私にそっと囁くように

何度も何度も頷いた


ライアンはもう言わなかった

「愛してる」なんて

私も言わなかった

「愛しています」とは

喉の奥まで出掛かった言葉を

言わなくていいんだよって

貴方は瞳で呟くから


言わなかった


言えなかった


私は
ライアンでいっぱいで

いっぱい過ぎて


このままライアンの胸に飛び込みたかった


引き留めたのは

やっぱりライアンだった

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