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大渕芹奈

第4章 先生と私


全部読み終えた私の頬は、涙で濡れていた。

【先生…】

その先を言う前に、先生が私の言葉を遮った。


気づいたら私は、先生の腕の中だった。

私には、先生のワイシャツのボタンしか見えない。


<こんなやつのために泣くなよ>


<こんなやつより、俺のほうが芹奈を大切にできる>

【…】

声にならない声が、先生のワイシャツにかかる。


<芹奈…愛してる>


【あっ…】

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