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井上真緒編

第2章 2

チリ子「本当、今日はもう眠くてしょうがない。会社休めばよかった」
なんと聞き捨てならないセリフだ。
真緒「どうしたの。昨日なんかあった」
チリ子「うん。ほとんど眠れなかった」
真緒「なにがあったの」
チリ子「ああ、ちょっとね」
真緒「ふうん」
チリ子「今日は、外回りなの」
真緒「え、なんで」
チリ子「私の知り合いが、お店やってて、きなっていうからどうかなと思って」
真緒「どこで」
チリ子「すぐそこだよ」
真緒「今日じゃなくてもいいんでしょ」
チリ子「うん」
真緒「それだったらこんどでもいいね」
チリ子「あ、分かった」

そういってチリ子は、自分のデスクに戻っていった。2人の関係がどういったものかなんてはっきりしないのだから、無難に会話を交わしただけだった。真緒の部署は、何人かでチームを作って、1つ1つの物件を扱っていた。物件選びから、リフォームの構想まで、1つのチームでやることが多かった。それなので、ここにもいくつかのチームがあったが、他の部署でも、同じようなことをやっていた。真緒は、課長の仲間の、下働きのようなことを、新人の田中とやることが多かった。仲間にいわせれば、田中はうちの課のホープで、真緒は、でがらしとでもいいたいかのようだった。仲間は、現場の見回りと、自分でも物件選びからしていたので、恐らく仕事は大変なんだろうが、真緒にはよくは分からなかった。


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