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井上真緒編

第2章 2

その日は家に帰ると、やけ酒をあおるように飲んだ。普段からこうなのだから、いつもと同じともいえたが、しかし、あの2人が会っていたことが、やはりショックだったのだ。それはそうだ。小倉はともかく、坂下チリ子は、会社のなかでは、唯一真緒が友人と思っていた女性だったからだ。元々真緒は、人付き合いがあまりよくなかったのかもしれない。というより、友人は、エリやはるなだと思っていたので、それ以上の付き合いを会社の人間としようとは思っていなかったのかもしれない。それでも、あのチリ子がとなると、それは複雑なはずだ。明日会社でどういった会話を交わしたらいいのかも分からない。はるなだったら、はっきり言ってやりなさいよと言うかもしれないが、勘違いである可能性もあるかもしれない。もちろん、そんなことをいったら、はるなは、だから裏切られるんだよとは言うだろう。なんか、複雑な感情を押さえ込むために、今は飲んでいる状態だった。そして次の日の朝になり、真緒は会社に出かけた。会社に着くと、チリ子が寄ってきた。

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