井上真緒編
第6章 6
その日は、もう帰ってから横になったまま眠るだけだった。週末になんとか体力を回復させて、会社に行きたかったが、それでも、ここにいては、逆に体力がそがれるように思った。寝室で、小さな画面の地デジをつけながら、朝まで眠った。次の日は、ずっと一日中音楽を聴きながら、布団をかぶっていたが、夕方には、買い物に出かけた。家にいても、体の調子がよくなるわけでもないし、買い物にでれば、いい運動になるかもしれないと思った。実際に、少し歩いている間に、からだが軽くなってきた。体を動かすだけで、こんなに体調ってよくなるんだと思って、真緒は驚いた。マラソンでもやろうかなと思ったが、そういった根性は元々真緒にはなかった。もちろん、その場限りでしかそういったことは思わないのだ。家に帰ったときは夕方だったが、夜なると、チアキがいつもの通り現れた。真緒は、今日買ってきたもので、料理をして、食べた。もちろん、チアキは、話しかけてきた。ただ、チアキは、真緒同様かもしくはそれ以上に、やつれていた。とにかく真緒が驚くほどだったのだ。