パパはかわら版
第6章 パパはかわら版E
賄賂は半ば公然と肯定され、それが不正の温床になっていたわけだが、だからといって、それは酒井大老だけの問題ではなく、そもそも、何が賄賂で、何が賄賂でないのかという区別自体が難しかったのだ。結局は、私腹を肥やしているかどうかで判断する以外ないように思われる。酒井大老の場合、石高の増加とそれをまかなうために金銭を受け取っていたわけだが、それは賄賂と判断していいと思う。なかなか、どこに線を引くのかというのは難しい問題なのだが、そのあたりは、あくまで、その時代の価値観に左右はされてしまう。しかし、それも、景気が悪くなれば、一気に心緒というのは悪くなる。すべての諸悪の根元とされことにもなるのだ。今回の、勘定方での問題も、はなから、そういった不正行為を望まない人たちの声であったといっていい。江戸時代は、改革といえば、質素倹約、殖産興業、不正の問いただしといったものになるが、そういったものは、いつの時代も同じなのだ。ただ、これから起きることと言うのは、誰にも想像がつかなかった。景気が更に悪化すれば、それが、酒井大老にどういった影響を与えるのかも、分からなかった。