
鳴宮くんは悪い子‼
第3章 鳴宮 和輝?だれそれ?
「俺、あんたのこと気に入っちゃったんだよねー」
はぁ?
何この人。
何この状況…?
茶髪は私を壁に追いやる。
そして、両手を壁に付け逃がさないようにした。
よくある、世に言う[迫られている]という状況だ。
「どう?俺の女になんない?」
いくらイケメンでも、生憎私はそんなに軽くないんで。
喉までそんな言葉が出かかった時、
「っん」
いきなり茶髪の顔が近づき、私の開きかかった唇を塞いだ。
数秒塞がれたあと、唇を離す。
「…私はそんなに軽くない…だろ?」
見透かされていた。
私の人生初のチューは、哀れなことにヤンキーに奪われた。
「……」
無言で睨むと、茶髪は微笑して続けた。
「ついでに言うと、ファーストキス?」
バッチーン!!!!
「…いって」
「…知ってるなら…やらないでよ」
いくら私でも、こんな挑発には乗る。
好きでもない女にキスできる男は、99.9999%根性腐ってる。
「やっぱ度胸のある女だなァ」
叩いた右手がヒリヒリする。
茶髪の左頬がうっすら赤い。
