向かいのお兄さん
第4章 電話で
美咲が帰って行った後
「やったー、美咲ちゃんと"こんにちは"~」
「ヤベーよ女子高生、まじ華っ」
同僚が喋っているのを、直也は黙って聞いている
「彼氏いんのかなー?」
「今度声掛けたら?」
「いないよ」
直也はパイプ椅子を荷台に乗せながら言った
「は?何で直也が知ってんの?」
「んー、直感」
軍手を外し、ドサッと椅子に腰掛ける
「ってか、美咲ちゃん直也のこと見てから、スゲー怖い顔したよなっ」
「あ、思った!!直也嫌われてんじゃねえの?」
周りでけらけらと笑う同僚に囲まれ
直也はひとり、微笑した
「別に、何もしてないのになぁ」