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向かいのお兄さん

第20章 あたしもね


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それからずっと


直也とは会わなかった




会わなかったとは言いすぎか…

家の前ですれ違ったりした時は

あたしは目を合わせないよう、必死に背けた


足も速くなるんだ


直也に会いたくなくて…会えるような顔も出来なくて…







でもこれが…





あたしが望んだことだから…













「明日は、晴れるみたいね」



お母さんはみそ汁のお椀を手に、そう言った



『…そっか』



久しぶりに

味のない料理を食べている気分だった




「朝は何時に起きるの?」



『…5時』




明日は




センター試験だ






「…」


『…』



食べる手が止まる


震え出す


不安しかあたしを


包み込んでくれない












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