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澪―みお―

第3章 葛原 幸次

ほどなくして、子どもが生まれた。
元気な男の子だった。
父親も大層喜んでいた。
もちろんおれ自身もだ。
美智子に対する父親の態度も、より一層良いものになっていた。
このまま幸せが続くのかと思っていた。
…間違いだった。
息子が病死したのだ。
誰が悪い訳でもない。
運命だと思う。
でも父親は違った。美智子を責め続けた。
目に見えて痩せ衰えていく美智子を見ていられなかった。
おれは声も掛けてやれなかった。

゛子どもを作らなきゃ…゛

誰に言った訳でもない、美智子の消えそうな言葉。
おれは出来る限り協力した。
翌冬には娘、澪が生まれる。
その時の美智子の安堵の表情は今でも忘れられない。

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