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放課後は図書室で

第15章 それでも好きな場所に

「どうした?…先輩と、何かあったの?」


ふたりの背中を見送りながら、もう声が届かなくなった頃、紗耶香がそっと聞いてきた。


「え?…特に、何もないけど。」


突然そんなことを言われたことに驚いた私は、声が裏返りそうになるのを堪えながら言った。


「そう?…気のせいかな?
なんとなく…だけど、先輩と何かあったから、今日来たのかなって思って…。」


「街の図書館に行こうかと思ってたんだけど、やっぱりあそこが良かったから…。久しぶりに行きたかっただけだよ。」


とっても図星な紗耶香に驚きつつ、苦し紛れの言い訳をした。


先輩との約束もあって、さすがに先輩とのことを話す訳にはいかないし…。
街の図書館に行こうかと考えていたのはホントのことだし…。

心の中で、自分への言い訳がぐるぐると回っていた。

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