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放課後は図書室で

第15章 それでも好きな場所に

「おつかれさまです。」


「おつかれさま。気を付けて帰るんだよ。」


電車のドアが開いて、涼しい空気が流れ込んできて。

先輩との距離の近さと胸の高鳴りで息苦しかった状況から解放されたくて、慌てて電車を降りると振り返って先輩に挨拶をした。


先輩は――気のせいじゃないと思うけど――、少し残念そうな表情を浮かべてから笑顔で返してくれた。


ドアが閉まって電車が動き出すと、先輩は小さく手を振ってくれた。
私は、同じように手を振り返す勇気が出なくて、小さく頭を下げて電車を見送った。


そして。


先輩が見えなくなったのを確認してから、さっき先輩が触れたマフラーを撫でた。

顔がにやけるのを押さえられずに、誰にも気付かれないよう下を向いて早足で改札に向かった。

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