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放課後は図書室で

第15章 それでも好きな場所に

「ほら、もう着いたよ?
遅いから、家まで送ろうか?」


電車が減速すると、先輩はまた耳元で囁いた。

外を見ると、いつの間にかもう最寄りの駅だった。


「一人で大丈夫です。」


「それは残念だね。…もう少し一緒にいられるチャンスだと思ったのに。」


この慣れない状況から早く逃れようと慌てて言うと、先輩は笑って言った。


「ホントに、からかわないでください。一人で大丈夫です。」


私がもう少し恋愛に慣れていれば…。

もう少し積極的になれたら…。

一歩踏み出す勇気があったら…。


きっと違う展開になるんだろうな…。

そんなことを考えながらも、私の口から出る言葉は気持ちとは裏腹なものだった。

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