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放課後は図書室で

第16章 張り詰めた空気

一気に胸が高鳴るのを押さえながら、顔を上げて見上げると、そこには笑顔の先輩がいた。


そして、声をかけられるまで気付かなかったけど、図書室はすでに先輩目当てのファン達でいっぱいで。さっきまでいなかった先生もこっちを見て笑顔を見せていた。


「お疲れさまです。今日はどうしてもこれを読みたかったので…。あまりやることもなかったので、先に片付けちゃいました。」


笑いかけ過ぎないように、でも冷たくならないように、笑顔を作って言った。


「そっか…。ありがとう。遅くなってごめん。
今日はゆっくり読書でいいよ。あとは俺がやるよ。」


「大丈夫です。…これ、読みながらゆっくりやります。」


笑顔で言う先輩にやんわり断ると、手元の本をちらっと見た。
先輩は軽く頷くと騒がしい図書室の中を軽く指差してそっと苦笑いをすると、その中に突入していった。

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